量子計算技術の社会実装を推進している株式会社Quanmatic(クオンマティク、本社:東京都新宿区、代表取締役:古賀 純隆、以下Quanmatic)は、独自ソフトウェア「QANML」に、早稲田大学戸川研究室の知的財産であるアルゴリズムを搭載し、精度を高めながら開発を進めてまいりました。今回、ベンチマーク評価を行い、大規模な計算を高精度で実行できることを実証しました。
これまで、QANMLには、制約条件を利用して問題を圧縮する「ダークスピン法」、解の収束を促進する「マルチスピンフリップ法」、そして問題規模の制限を緩和する「リボアニーリング法」という戸川研究室の知的財産に基づいた3種類のアルゴリズムを搭載し、量子計算技術の応用範囲を拡大すべく、アルゴリズムの改善・ソフトウェア開発に励んできました。(*1)今回の実証結果は、生産現場における製造計画、物流部門での配送スケジュールやルートの計画、流通部門における在庫管理や倉庫管理の最適化、さらに広範なポートフォリオ構築などの様々な計画において、従来の方法では難しかった課題を実用的に解決できるソフトウェアとして、幅広い分野での活用を見込んでいます。
ローム株式会社と株式会社Quanmaticは、半導体製造のEDS工程に量子技術を導入し、セットアップ時のロスを従来比40%削減することに成功しました。これは、量子技術の大規模半導体工場への本格導入として世界初の事例です。 両社は、Quanmaticの量子・古典ハイブリッド計算技術とロームの製造ノウハウを融合した最適化システムを構築し、2024年にフィリピン工場で導入。2025年には前工程への展開も開始し、浜松工場での実証にも成功しました。 今後は複数工場への展開を目指し、量子技術の社会実装と半導体の安定供給体制の強化に取り組んでいきます。