近年、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた世界的な取り組みが加速する中、エネルギー効率や環境負荷低減に資する新素材の開発が急務となっています。また、EVや再生可能エネルギー分野の拡大により、材料開発のスピードと柔軟性が求められており、量子計算技術やAIの進展が、従来困難だった高次元探索や複雑な最適化問題への新たなアプローチを可能にしつつあります。
Quanmaticは日本ガイシ株式会社と協働し、素材探索や構造探索に対する量子計算技術の活用可能性検証を実施しました。
総合セラミックメーカーの日本ガイシでは、材料メーカーとして、材料探索に用いる機械学習技術およびシミュレーション技術を有しており、材料開発を加速するためにマテリアルズ・インフォマティクスに注力してきました。そうした取り組みのなかで、新たな材料探索に量子コンピュータが活用できる可能性に着目し、今回の検証実施に至りました。
材料開発サイクルの短縮や革新的な素材・構造の探索につなげることを狙いとし、以下2件のテーマに対し検証を行いました。
1. 素材探索
複数の目的特性をもつ素材の探索に対し、汎化性能や探索性能等の様々な性能指標について、FMQA*と古典コンピュータを用いた計算手法とで比較検討を行いました。その結果、少ないデータでも正確に目標値を探索できるが、汎化性能に課題があり、活用においては使い分けの必要性が示唆されました。
2. 構造探索
3次元の構造探索に対し、目的特性をもつ構造を生成する量子計算・古典計算ハイブリッドのアルゴリズムを検証しました。その結果、古典計算部分において、従来手法ではできなかった構造が生成できることが確認できました。
| Quanmatic | 量子計算のためのプログラミング、量子計算の実施 |
| 日本ガイシ | 比較基準となる従来技術での計算実施 |
*FMQA(Factorization Machine with Quantum Annealing): 機械学習と量子アニーリングを組み合わせたブラックボックス最適化手法。ブラックボックス最適化とは、関数が未知のシステムに対し、所望の出力を得るための最適な入力を探索する手法。